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完璧な胡蝶蘭を育てる技術

胡蝶蘭の植え替え時期と手順|水苔とバークはどちらを選ぶ?

eanorl2 5日 ago

「花が終わった胡蝶蘭、そろそろ植え替えたほうがいいのかな」と迷っていませんか。
園芸店で15年、預かった胡蝶蘭を立て直してきた森下です。
植え替えの適期は5月を中心とした4〜6月で、花がすべて終わってからが原則です。
毎年やる作業ではなく、植え込み材が傷んでいなければ見送っても構いません。
時期の見極めから、水苔とバークの選び方、失敗しにくい手順までをお伝えします。

植え替えは本当に必要?判断の目安

頻度は2〜3年に一度

胡蝶蘭の植え替えは、毎年やるものではありません。
みんなの趣味の園芸(NHK出版)では2年に1回程度、世界らん展の栽培解説では2〜3年に一度程度で大丈夫とされています。

理由は植え込み材の寿命です。
胡蝶蘭専門の海老名洋蘭園によると、苗そのものは長命でも、水苔は2〜3年ほどで保水力が落ち、カビも生えやすくなります。
さらに植え替えたあとは、株が回復するまでに1年ほどかかるそうです。
頻繁にいじるほど、株に負担をかけることになります。

植え替えを考えるサイン

次のような状態が見えてきたら、植え替えを検討するタイミングです。

  • 水苔がぐずぐずに崩れて、水を含みにくくなっている
  • 水苔の表面や鉢の内側にカビが出ている
  • 新しい根が増えて、鉢の中がぱんぱんに詰まっている
  • 前回の植え替えから2〜3年たっている

海老名洋蘭園によると、何年も放置すると鉢の中が根で詰まって風通しが悪くなり、カビや根腐れにつながります。
この状態になる前に手を入れておくと、株を傷めずに済みます。

生産者には「原則しない」という意見もある

一方で、山梨の生産者である松村洋蘭は「原則、植え替えは行わない」としています。
植え替えるのは、新しい根が増えて鉢がぱんぱんになったときだけ。
遮光した温室で気温が18〜25度くらいに保てる環境でなければ、株が傷んでだめになる可能性が非常に高いというのです。

家庭の環境は温室とは違います。
私の考えは、植え込み材が傷んでいなくて、葉や根に元気があるなら、見送っていいというものです。
実際に店では、植え替えをきっかけに弱ってしまった株も、何年も放置して水苔が腐った株も見てきました。
前者は時期や状態を見ずに動いたことが、後者は傷みのサインを見逃したことが原因でした。

迷ったときの判断表

ここまでの話を、状況別に整理します。

いまの状況私のおすすめ
花がまだ咲いている全部しぼむまで待つ
水苔が傷んでおらず、根も元気見送って、来年の春にもう一度確認する
水苔が崩れている、カビが出ている春(5月ごろ)に植え替える
8月以降にカビや詰まりに気づいた根をほぐさず、一回り大きな鉢に移す
冬に気づいた春まで待つ(室温20℃程度を保てるなら冬でも可とする情報もある)

見送る選択肢があると知っているだけで、焦って動かずに済みます。

植え替えの時期は5月を中心に4〜6月

適期は花が終わったあとの春

各所の情報を並べると、適期は少しずつ違います。

  • NHK出版:5月上旬〜6月下旬
  • 世界らん展:5月中旬〜6月中旬
  • 松村洋蘭:4〜5月
  • 海老名洋蘭園:4〜6月

どれにも共通して入っているのが5月です。
海老名洋蘭園によると、胡蝶蘭は7〜9月に一番根を伸ばします。
その手前の春に済ませておくと、傷んだ根が回復しやすくなります。

もうひとつ大事なのが花の状態です。
海老名洋蘭園は、すべての花がしぼんだあとに行うよう案内しています。
花が咲いている途中で植え替えると、ストレスで花のしぼみや花落ちを招くからです。
いただいた鉢を早く植え替えたくなっても、花が終わるまでは待ちましょう。

時期別の目安

時期植え替え理由
4〜6月適期生育期の前で、根の傷みから回復しやすい
7〜9月避ける一番根を伸ばす時期で、ストレスが成長に響く
10月〜翌3月避ける冬までに根が張りにくく、寒さで弱りやすい

冬の植え替えについて、NHK出版は室温が20℃程度あれば季節を問わず可能としています。
ただ私は、暖房の効いた部屋でも夜の冷え込みが読みにくいので、5月まで待つほうを選びます。

やむを得ず8月以降に植え替えるとき

松村洋蘭は、どうしても8月以降に植え替えるなら、根をほぐさずに一回り大きな鉢へ移す方法を勧めています。
根をほとんど傷めないので、生育への影響を抑えられるからです。

水苔にカビが出たなど、春まで待てない事情もあるでしょう。
そのときは根の中身に手をつけず、鉢だけ大きくする方法を覚えておいてください。

水苔とバーク、どちらを選ぶ?

それぞれの特徴

植え込み材は、水苔とバークが主流です。
世界らん展の解説では「最近ではバークを使用することが多くなりました」とあります。
一方、海老名洋蘭園は、水苔が胡蝶蘭の植え込み材として一番使われていると説明しています。

水苔バーク
保水性高い低め
通気・排水通気性がよい排水性、通気性がとてもよい
水やりの頻度少なめ。あげすぎると根を傷める水苔より多め
合う鉢素焼き鉢プラスチック鉢(透明ポットだと根の様子が見える)
下準備乾燥タイプを水で戻して使う洋ラン用のものを選ぶ

どちらの場合も、草花用の土は使いません。
松村洋蘭によると、通気性が悪くて根が腐る原因になるためです。

鉢との組み合わせを間違えない

植え込み材と鉢の相性は、意外と見落とされます。
NHK出版は、水ゴケなら素焼き鉢、洋ラン用バークやヤシ殻チップならプラスチック鉢を挙げています。

松村洋蘭は、水苔にプラスチック鉢を合わせると通気が悪く根が腐る可能性があり、バークに素焼き鉢を合わせると通気がよくなりすぎると説明しています。
新しい鉢は、今の株より一回り大きいサイズを選びます。
たとえば5号(直径15cm)で育てていた株なら、6号(直径18cm)が目安です。

迷ったときの選び方

ここからは私の意見です。
いま入っている植え込み材に合わせるのが、いちばん失敗しにくい選び方だと思います。
材料を変えると水やりのリズムまで変わるので、慣れるまでに根を傷めやすいからです。

新しく選ぶなら、水やりの間隔が空きがちな方には水苔と素焼き鉢を勧めます。
こまめに様子を見られる方には、バークと透明ポットが向いています。
透明ポットなら、根の色や乾き具合が見えて水やりの目安がつかめるためです。

植え替えの手順

準備するもの

  • 一回り大きい鉢(水苔なら素焼き、バークならプラスチック)
  • 乾燥タイプの園芸用水苔、または洋ラン用バーク
  • 消毒した園芸用ハサミ
  • 割り箸(バークを詰めるとき)

ハサミの消毒を省くと、切り口から雑菌が入って病気の原因になります。
海老名洋蘭園は、塩素系の消毒液につける、煮沸する、火であぶるといった方法を挙げています。
水苔は、観賞用の生きたものではなく、乾燥タイプを選んでください。

ギフトの鉢では、ひとつの鉢に複数株が入っていることがあります。
海老名洋蘭園は、基本的には株ごとに植え替えるよう勧めています。

水苔で植え替える手順

海老名洋蘭園の案内をもとに、順番を整理します。

  1. 鉢から株をゆっくり抜き、根の周りの水苔を手でほぐして取り除く
  2. 黒ずんだ根や、黄色く変色した根を消毒したハサミで切る
  3. 水で湿らせた新しい水苔を、根にゆったりめに巻きつける
  4. 力を入れずに新しい鉢へ入れる
  5. ぐらつくときだけ水苔を足す

水苔をきつく詰めたり、力を込めて押し込んだりすると、根が傷ついて通気も悪くなります。
その結果が、根腐れやカビです。
ふんわり巻くくらいが、ちょうどいい加減だと覚えてください。
足りない分は、鉢と株のすき間に少しずつ足して調整します。

バークで植え替える手順

世界らん展の解説では、まず鉢から抜いた株を2〜3日そのままにして、株元の植え込み材を乾かします。
そのあと一回り大きなプラスチック鉢に株を入れ、割り箸などでバークを押しながら株と鉢のすき間に詰めていきます。
根の傷んだ部分を切る作業は、水苔のときと同じです。

植え替え後の管理

最初の1週間は水をあげない

植え替え直後の根には、細かい傷がついています。
世界らん展の解説は1週間くらい、海老名洋蘭園は最低1週間ほど、水やりを控えるよう案内しています。
根が落ち着く前に水を与えると、傷口から傷みやすくなるからです。

置き場所は、私はレースカーテン越しの明るい日陰にしています。
1週間たったら、いつもの水やりに戻します。
肥料は、世界らん展の解説によると、花のあとの4月中旬から10月に、液肥を2週間に一度、1000倍に薄めて与えます。
植え替え直後はあわてず、根が落ち着いてから再開すれば十分です。

やりがちな失敗

ここまでの内容を、失敗の形でまとめ直します。

失敗起きること
花の途中で植え替える花がしぼんだり落ちたりする
夏に植え替えるストレスで成長に影響が出る
水苔を詰めすぎる通気が悪くなり、根腐れやカビが出る
水苔にプラスチック鉢を合わせる根が腐る可能性がある
草花用の土を使う根が腐る原因になる

どれも、時期と組み合わせを守れば避けられるものです。

まとめ

胡蝶蘭の植え替えは、2〜3年に一度、5月を中心とした4〜6月に、花がすべて終わってから行います。
水苔なら素焼き鉢、バークならプラスチック鉢という組み合わせを守ると、根腐れを避けやすくなります。
植え替えたあとは、最低でも1週間は水をあげずに待ちます。

やらなくていい年に無理してやる必要はありません。
水苔が傷んでいないか、鉢の中が詰まっていないかを、春に一度のぞいてみてください。
サインが出ていたら、その年の5月が動きどきです。